岩手・盛岡で改革できること

 

給食費の無償化や、子育て支援策の実行には、財源が必要となります。給食費の無償化は、一部の自治体で実施されていますが、財源の確保に課題があるとされ、隣県の青森市のほか、岩手県では4つの自治体でしか実施されていません。

盛岡市の場合、給食費の無償化を実施する場合、どの程度の財源が必要になるのでしょうか。盛岡市の小学校、中学校の就学年齢である6〜14歳の人口は、およそ2万人です。そして、子ども1人あたりの年間の給食費用は、およそ5万円です。したがって、2万人×5万円=10億円が、盛岡市で給食費の無償化を実施する場合の費用の目安、ということになります(そもそも盛岡市の場合、中学校の完全給食も実施されていない悲しい状況なのですが、そこはまずおいておきます)。

では、盛岡市の予算を見てみます。令和4年度の盛岡市一般会計予算は、1,276億円です。給食費無償化のための10億円の財源を確保するためには、この1,276億円のうち、0.78%を削減すれば、計算上、給食費無償化が実施できることになります。ではどの事業の削減が可能なのでしょうか。

ここから大阪市の改革の成果を見てみます。大阪市では、令和2年から、給食費の無償化を実施していますが、その大阪市では、財政危機への対応策の一つとして、市が担っていた事業のうち、民間が担うことによりコスト削減やサービス向上が期待できるものは、民間活力を活用する改革を実施してきました。大阪市営地下鉄の民営化、大阪城公園のパークマネジメント事業などです。これらの結果、地下鉄は以前より圧倒的に綺麗になり、大阪城では世界的なイベントも開催されるようになったりと、改革の成果が目に見えて現れ、また大阪市の行政コストも削減される一石二鳥となりました。

盛岡市で民間活力を活用できるものはないでしょうか。盛岡市の令和4年度事業の中に、「文化会館管理運営事業 701,796千円」というのが見つかりました。盛岡劇場、都南文化会館、盛岡市民文化ホール、渋民文化会館の管理運営を、盛岡市文化振興事業団に委託したり、これらの施設を修繕したりする事業のようです。このことに、年間7億円の予算が必要のようです。

7億円の妥当性についてですが、仮にこれらの施設の運営が、民間企業により行われていて、その民間企業が自ら支出する金額であれば、なるほどそれは自分たちで稼いだお金から支出するのだから、必要なお金なのだろう、と推測できます。しかし、ここでは実態として、事業を受託している文化振興事業団と、委託者である盛岡市がどこまで予算の折衝しているのか定かではありませんし、民間企業のように「稼ぐ」インセンティブも働いていません。

さらに、この文化振興事業団には、盛岡市の定年退職者が、毎年のように再就職(天下り)しています(R4:中村市民部長、藤澤会計管理者、荒川城南小学校長 R3:村上財政部長、佐々木玉山総合事務所企画調整監・・・など)。仮に、中村市民部長が再就職した文化振興事業団の事務局次長兼総務部長という職が、ハローワークで公募され、その公募に中村市民部長が応募し、競争の上、採用された、というなら理解できなくはないです。しかし、中村市民部長が再就職したのは、市が、文化振興事業団に事業を委託していることや、それに伴う人的つながりから生じた密室人事であり、フェアではありません。このような再就職は、税金を納めている市民にとって損害ですし、他に採用される可能性のあった職員にとって不公正です。そしてこの不公正は、市民だけでなく、実は多くの市職員にとっても不公正なことなのです。

大阪市では、このような問題を解消するために、管理職員等が外郭団体等に再就職することを原則禁止しています。盛岡市には、このような規制はありません。盛岡市でも、大阪市と同様の規制を行うべきではないでしょうか? その結果として、文化施設の民営化が検討され、サービス向上が図られ、さらにコスト削減により財源が生み出され、給食費の無償化にも近づくことが考えられます。

改革に特効薬はありません。ですが、一つ一つの改革・改善が大きくなり、それらが財源を生み、子どもたちの未来を明るくする手助けになるのは確かです。このような維新の改革を、岩手・盛岡でもはじめましょう!